自動車リサイクル料金

お金・税金・保険

(この記事は、2022年7月7日に作成、サイト整理により2023年8月29日に転載しました。)

新車の購入から中古車の売買まで、明細をよく見ると「リサイクル料金」という項目があります。リサイクル料金とはどのようなものなのか解説します。

「自動車リサイクル料金」とは

廃車の発生台数が年々増加していくなか、有用な金属・部品を含み資源として価値が高いものは解体業者や破砕業者における売買を通じて流通するなかでリサイクルが行われていました。しかし、資源として価値が低いプラスチックくずなどのシュレッダーダストの不法投棄や埋め立て処分場の不足が問題となりました。また鉄スクラップ価格の低下の影響などにより逆有償化(自動車ユーザーが処理費を負担し廃車を引き渡す)が起こると、廃車の不法投棄が生じる状況にありました。 また、廃車のリサイクルでは、地球温暖化などに影響を与えるカーエアコン冷媒(フロン類)の確実な回収、専門技術を要する「エアバッグ類」の適正処理も、十分に進みませんでした。これらの問題に対応するため、循環型社会形成推進基本法に基づく第5番目の個別法として、2002年7月12日に使用済自動車の再資源化等に関する法律(通称「自動車リサイクル法」)が制定され、2005年1月1日から施行されました。 自動車リサイクル法では、使用済自動車の適正なリサイクルにおいて阻害要因となっている3物品(シュレッダーダスト、エアバッグ類、フロン類)の引取と適正なリサイクル・処理で発生する費用を最終所有者が負担することを義務づけました。
具体的には新車の登録時に所定のリサイクル料金をあらかじめ収め、自動車リサイクル促進センターが管理する。自動車の所有者が代われば、新所有者が旧所有者にリサイクル料金を支払う。最後に引取業者へ廃車処分を依頼する所有者がリサイクル料金を負担することになります。

「リサイクル料金」の内訳

リサイクル料金は、「シュレッダーダスト」「エアバッグ類」「フロン類」の適正処理に要する費用と、自動車リサイクル促進センターによる自動車リサイクルシステムの運営費用(情報管理料金、資金管理料金)から構成されます。金額は、車両の装備等により異なるために1台ずつ設定されていて、おおむね軽自動車から乗用車で6000円から18000円程度になっています。

シュレッダーダスト料金

シュレッダーダストとは、使用済自動車から有用な部品や鉄などの金属資源などを回収した後に残る樹脂やゴムなどのクズです。自動車リサイクルシステムが稼働する前は、シュレッダーダストのほどんどが廃棄物として埋め立てられていました。現在、シュレッダーダストを、さらに原材料に戻したり、熱源として再利用しています。

エアバッグ類料金

エアバッグ類とは、エアバッグやシートベルト・プリテンショナーの両者をあわせた装置の総称です。これらは、自動車の衝突時の衝撃から乗員を保護するための装置ですが、使用済自動車を安全にリサイクルするためには専門的な技術の下での処理が必要になります。現在、エアバッグ類を回収した後に残る金属部分を原材料に戻しています。

フロン類料金

フロン類とは、広く自動車のカーエアコンに使われる冷媒です。この冷媒は、オゾン層破壊や地球温暖化を進行させるなど環境によくない影響があるため、大気放出を防ぐ必要があります。現在、自動車メーカー・輸入業者がフロン類を回収した後、高熱で分解して無害化しています。

情報管理料金

電子マニフェストシステム(自動車リサイクルシステム)の運用・維持費用、外部の問い合わせ対応窓口であるコンタクトセンターの運営費用等、一連の実務に要する費用。

資金管理料金

資金管理業務に関する一連の実務に要する費用(詳細

参考資料

自動車リサイクル促進センター

自動車リサイクルシステム

教えて!自動車リサイクルのすべて

(2023年8月29日公開、作成:三浦敏和)

コメント