ペダル踏み間違い急発進抑制装置をご存じですか?

急発進抑制装置 自動車全般

2021年11月以降にフルモデルチェンジをする新車は衝突被害軽減ブレーキ機能が義務化されました。2025年12月以降は、全ての新車が衝突被害軽減ブレーキ義務化の対象になります。テレビやネットでは、ペダル踏み間違いが原因と思われる事故のニュースが頻繁に流れていて、衝突被害軽減ブレーキの重要性を認識することが多いと思います。

必要性はわかっていても、軽自動車でも200万円になる新車に簡単には乗り換えられません。そこでオススメするのが「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」です。

「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」とは?

ペダル踏み間違い急発進抑制装置とは、ブレーキペダルを踏むはずが、誤ってアクセルペダルを強く踏み込んでしまった場合に加速を抑制し、ペダル踏み間違いによる事故を軽減する、後付けタイプの運転支援システムです。各自動車メーカーや部品用品メーカーから販売されています。

製品により仕様は異なりますが、基本的には車の進行方向に障害物がある状況で急激なアクセルの踏み込みを検知した場合に、ブザーやランプで知らせると同時に、エンジンの出力をカットして、加速を抑制する機構になっています。

ただし、大半の製品が加速の抑制のみで、ブレーキの機能は付いていないので注意が必要です。(詳しい内容は各メーカーのホームページで確認してください)

自動車:ペダル踏み間違い急発進抑制装置性能認定結果一覧 – 国土交通省 (mlit.go.jp)

※ 「自動車急発進等抑制装置の設置費助成制度」などの制度を独自に設定している自治体もあります、お住まいの地域を確認してみましょう。

「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」は有効なのか?

原因は認知症だけではない

「ペダル踏み間違い事故」は、若年者より高齢者の割合が多くなっています。高齢者の免許更新に認知機能検査が導入されましたが、認知機能検査では「ペダル踏み間違い事故」を防げない場合があるといいます。医療法人健会高知検診クリニック脳ドックセンター長の朴啓彰博士の調査では、左右の脳に軽い白質病変がある人が交差点内で事故を起こすリスクは、病変のない人の3.36倍に増えることが判明しました、白質病変とは、加齢や生活習慣病などによって血の巡りが悪くなり、脳の毛細血管に血液が流れず脳に変化した部分がある状態。一般的には無症状ですが、程度が強くなると認知機能が低下します。上記の調査で「軽い白質病変がある人」は認知症の症状は見られないのですが事故のリスクは3.36倍になります。白質病変により、脳神経の情報伝達障害をまねき、「ブレーキを踏め」が「アクセルを踏め」に置き換わってしまう可能性があるといいます。

高齢者の運転能力を低下させる「白質病変」 事故防止の手かがりに | ニュース | 糖尿病ネットワーク (dm-net.co.jp)

加齢による運動機能の低下

加齢に伴い、運動機能が低下するのは避けられません。高齢者の「ペダル踏み間違い事故」は駐車場など道路以外で多くなっています、駐車場などは、体をひねって後方を確認しながら、ハンドル操作をして、さらにペダルを踏むという複雑な操作を同時にすることになります。

身体の柔軟性の低下や筋力の低下などにより、「今までブレーキペダルを踏んでいた感覚と同じ力加減でペダルを踏もうとすると、アクセルまでしか届いていなかった」という状況が考えられます。

「アクセルとブレーキペダルの踏み間違い事故」(公益財団法人 交通事故総合分析センター)

まとめ

「経済的に新車購入は無理」、「乗り慣れた愛車を手放したくない」など、色々事情はありますが、安全運転はドライバーの義務です。最新の運転支援システムを装備した自動車には劣りますが、「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」を検討する価値はあると思いませんか?

(2024年4月15日公開、2024年4月30日更新、作成:三浦敏和)

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