近年、集中豪雨による冠水道路が増加しており、自動車のトラブルに繋がるケースも少なくありません。中でも、エンジンに深刻なダメージを与える「ウォーターハンマー現象」は、ドライバーが注意すべき危険な現象の一つです。
ウォーターハンマー現象とは?
ウォーターハンマー現象とは、エンジン内部に水が入り込み、ピストンの動きを妨げたり、シリンダーヘッドを破損させたりする現象のことです。
なぜウォーターハンマー現象が起こるのか?
- 吸気管への水の侵入:
冠水した道路を走行すると、水しぶきがエンジンルーム内に飛び散り、吸気口からエンジン内に水が入り込むことがあります。
(※侵入した水分が少量のときは、プラグが濡れて失火、エンジンが停止するだけで、エンジン本体へのダメージはありません。この場合は、速やかに水分の除去をするだけで復活します。) - ピストン運動の妨げ:
エンジン内部に入った水が、ピストンの上下運動を妨げ、圧力が急激に上昇します。 - エンジン内部の損傷:
圧力の上昇により、ピストンやコンロッドが破損したり、シリンダーヘッドが割れたりする可能性があります。
ウォーターハンマー現象が起きるとどうなる?
- エンジンが停止:
エンジン内部で水が抵抗になり、エンジンが動かなくなることがあります。 - エンジンが焼き付く:
過剰な抵抗によるピストンやコンロッドの焼き付きや損傷により、エンジンが完全に動かなくなることがあります。 - 高額な修理費:
エンジン内部の損傷やサビにより、部品交換など高額な修理費用がかかることがあります。
冠水道路を走行する際の注意点
- 冠水道路は絶対に避ける:
冠水している道路は、深さが分からず、底に大きな穴が開いている可能性もあります。たとえ少々の水量に見えても、迂回するなど走行を避けるべきです。 - 速度は遅く:
冠水道路が避けられない場合は、出来るだけ速度を落として、水しぶきが上がらないように走行しましょう。 - 走行後は点検する:
冠水道路を走行した後は、エンジンオイルの量(水が混入すると白濁します)やエアクリーナーボックス内部に水が流入していないか点検を行いましょう。
まとめ
ウォーターハンマー現象は、エンジンに深刻なダメージを与え、高額な修理費用につながる可能性があります。冠水道路は、たとえ少々の水量に見えても、絶対に走行を避けることが大切です。
※JAF(日本自動車連盟)のホームページでも、水害時の注意点や対処法が掲載されています。
(2024年9月7日公開、作成:三浦敏和)
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