自動車のリコール制度とは

自動車全般

自動車のリコール制度とは、自動車の安全性を確保し、環境保護に貢献するための重要な制度です。リコール制度の概要や運用方法など解説します。

リコール制度の概要

自動車のリコール制度とは、自動車の安全性を確保し、環境保護に貢献するための重要な制度です。日本では、国土交通省がこの制度を管理しており、自動車メーカーや輸入事業者は、自動車の構造や装置、性能が安全確保や環境保全上の基準に適合しない可能性がある場合、必要な改善措置を行うことが義務付けられています。

リコール制度の目的は、自動車の設計や製造過程に起因する事故や故障、排出ガスや騒音の増加を未然に防ぐことです。この制度により、ユーザーは無料で修理を受けることができ、安心して自動車を使用することが可能になります。

リコール制度の運用方法

自動車メーカーの運用

  1. リコール届出・・・同一の型式の一定の範囲の自動車が、「道路運送車両法」の安全確保および環境保全上の技術基準(保安基準)に適合していない、または適合しなくなるおそれがある状態で、その原因が設計や製作の過程にあると認められるときに、不具合の状況やその原因、改善措置の内容、また、自動車ユーザーなどへの周知の方法について、国土交通省に届出を行います。
  2. リコール情報の公開・・・自動車メーカーは、ユーザーに対して不具合の内容等をダイレクトメールなどで通知します。(国土交通省は、リコールの内容をプレスリリースするとともに、ウェブサイト「自動車のリコール・不具合情報」で公開します。)
  3. 改善措置の実施と報告・・・自動車メーカーなどはできるだけ早く、リコール情報をリコール対象となっている自動車のユーザーなどに周知し、リコール対象車の改善措置を実施するよう努めなければなりません。改善措置の実施状況について、国土交通省に報告することが義務づけられています。

国土交通省の運用

  1. 不具合情報の収集・分析・・・独自に不具合情報の収集・分析を行い、同一の型式の一定の範囲の自動車が保安基準に適合していないおそれがあると判断した場合は、必要に応じて原因を調査します。
  2. リコールの勧告・・・調査の結果、保安基準に適合していないおそれがあり、原因が設計や製作の過程にある認められるときに、自動車メーカーなどに対し、必要な改善措置を講ずることを勧告します。
  3. リコールの公表・命令・・・自動車メーカーなどが勧告に従わない場合は、その旨を公表し、それでもなお正当な理由なく勧告に従わない場合には、リコールを実施するよう命令します。

不具合情報ホットライン

国土交通省では、リコールにつながる不具合を早期に発見するため、「自動車の不具合情報ホットライン」を設置し、自動車ユーザーからの不具合情報を、インターネットや電話で広く受け付けています。

マイカーに不具合が発見されたらリコールの早期発見のために、「不具合情報ホットライン」に情報提供しましょう。

※個々の不具合情報に対する回答や調査状況の報告などは行っておりません。

リコール情報検索

リコール情報検索・・・車名、型式、届け出日からリコール等の内容を検索することができます。

主要な自動車メーカーの問い合わせ先一覧・・・個別の車台番号から対象の届け出をお調べになりたい場合は、自動車メーカー、及び販売会社にお問い合わせ下さい。

改善対策・サービスキャンペーン

保安基準に適合するためリコールに該当しないが、商品の設計や製作過程に問題があり、法的な強制力は伴わないものの、改善が必要とメーカーが判断したもの。

改善対策は、リコールとは異なり、車両が法的な安全基準を満たしているものの、将来的に問題が発生する可能性があると判断された場合に実施されます。改善対策は、安全上のリスクを未然に防ぐために重要であり、通常、無償で提供されます。

サービスキャンペーンは、安全性に直接関連しない小さな不具合や顧客の快適性を向上させるための改善を目的としています。これは、製品の品質を高め、顧客満足度を保つためにメーカーが自発的に行うサービスです。サービスキャンペーンは、顧客にとっては無料のサービスであり、車両の機能向上や維持に役立ちます。

要するに、改善対策は安全性に関わる問題に対処するためのものであり、サービスキャンペーンは製品の品質や顧客の経験を向上させるためのものです。どちらもメーカーが提供する重要なサービスであり、消費者にとっては車両を最適な状態に保つために利用すべきものです。

(2024年7月22日公開、作成:三浦敏和)

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