年配の方が、中古車を購入するときに、一番心配するのが「メーター巻き戻し」ですが、最近はあまり話題になっていないようです。
中古車の「メーター巻き戻し」という問題について、その対策の歴史と現状そして注意点をお伝えします。
メーター巻き戻しとは何か?
メーター巻き戻しとは、中古車のオドメーター(走行距離を表示するメーター)を不正に操作して、実際よりも少ない走行距離に見せかける行為です。これは、中古車の価値を高く見せるために行われる詐欺行為であり、消費者に大きな損害を与えます。
メーター巻き戻しの対策の歴史
メーター巻き戻しは、昔から中古車業界の深刻な問題でした。しかし、国や業界団体などが様々な対策を講じてきた結果、現在ではほとんど見られなくなりました。以下に、主な対策の歴史を紹介します。
- 1998年:車検証に前回の車検時の走行距離を記載するようになりました。これにより、メーターと車検証の走行距離が一致しない場合に不正が発覚するようになりました。
- 2001年:「日本オートオークション協議会」を設立、走行メーターチェックシステム稼働
- 2004年(軽自動車は2009年):国土交通省は、車検証に過去二回の車検時の走行距離を記載することを義務付けしました。
- 2017年:国土交通省が車検証に過去の車検時に記録された最大値(最大走行距離)を追加記載するように改めました。これにより、メーター交換や修理などで走行距離が減少した場合でも不正が発覚するようになりました。
メーター巻き戻しの現状
上記のように、メーター巻き戻しは厳しく規制されており、現在では、中古車販売業者の取引ではほとんど見られません。しかし、完全に撲滅されたわけではなく、とくにネットオークションや個人売買では注意が必要です。まれに、以下のような手口でメーター巻き戻しを行う悪質な業者が存在します。
- 車検証や注文書に走行距離を「不明」と記載する。
- メーター交換や修理の履歴を隠す。
- メーター巻き戻しの証拠となるタイミングベルトや油脂類の交換ステッカーを剥がす。
- デジタルメーターの場合、専用の機器でメーターの値を書き換える。
メーター巻き戻しに注意するポイント
メーター巻き戻しは、中古車を購入する際に注意しなければならない問題です。メーター巻き戻しを見抜く方法は、以下のようにいくつかあります。
- 車検証や注文書の走行距離とメーターの走行距離を比較する。不一致や不明な場合は疑う。
- タイミングベルトや各種オイルの交換ステッカーを確認する。交換時期や交換時の走行距離が記載されている。メーターの走行距離よりも大きい場合は疑う。
- 車の内装や外装の状態をチェックする。メーターの走行距離に比べて擦れや汚れが多い場合は疑う。
- 日本自動車査定協会などで、「走行メーター管理システム」のチェックをうける。
以上、中古車の「メーター巻き戻し」について、その対策の歴史と現状と注意点をお伝えしました。メーター巻き戻しは現在ではほとんど見られない問題ですが、万が一に備えてチェックする方法を知っておくことが大切です。中古車を購入する際には、信頼できる業者を選ぶことも重要です。ぜひ参考にしてください。
(2023年6月19日公開、作成:三浦敏和)
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